亀岡市議会議員すだ議員Web 議会日記 16.09賛成討論
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平成16年9月定例会賛成討論

(◆隅田盛和 議員)
 私は「郵政事業民営化に対する意見書」の議会採択に関する請願書に対しまして賛成の立場で討論を致します。
 政府は今月十日に与党の合意を得ることなく、郵政民営化基本方針を閣議決定しましたが、この郵政民営化論議がどこから出てきたのか、みなさん承知しておられますでしょうか。
 『年次改革要望書』というのをご存じでしょうか。年次改革要望書』とは、アメリカ政府が日本の各産業分野に対して機構改革や規制緩和などを要望する文章です。他の外交文章と違うのは、ここに書かれたことが実行されたかどうかを、日米の担当官が定期的に会合を持ち、チェックする仕組みになっていることであります。形式は「要望書」ですが、実行されているか否かが点検されますから、事実上、米国政府から日本政府への命令書的性格の文章であります。
 この『年次改革要望書』は、アメリカ大使館のホームページで見ることが出来ますので、ご覧になってない方は一度見てみることをお勧め致します。日本語訳もありますので、英語を読めない方でも大丈夫になっております。
 これを見ると皆さんびっくりすると思います。よくもまあ、これだけ、微に入り細にわたり他の国家に介入できるもです。まるで、GHQの日本占領統治時代と錯覚するほどであります。しかし、徹底的に日本を調べていることに、憤慨しながらも感心を致します。1993年の宮沢首相とクリントン大統領の首脳会談で決まったことで、以後今日まで受け継がれております。
 この文章の前身であります「日米構造協議」は英語ではストラクチャル インペディメンツ イニシアチブ(Structural Impediments Initiative)、つまり「アメリカが日本市場に参入する際に障害になるものを、アメリカの主導で取り除こう」という意味であります。
 アメリカの国益をはかるために、アメリカの主導で日本を改造するというのが『年次改革要望書』の本質であり、これを唯々諾々受け入れている今の政府に、主権国家としてのプライドがあるのか問いたいと思います。
 このような背景で出てきた今回の郵政民営化論議であります。自分の国のことは自分の国で決める、これが民主主権国家の原点であります。国民の中から、郵政事業は是非とも民営化が必要だという声がわき起こり、十分な議論がなされ、その上で国民の代表者が集まる国会で尽くされた審議の上で決められたのなら、地方議会は口を差し挟む必要はないと思います。
 日本世論調査会がこの11、12両日、面接による全国世論調査を実施しました。民営化についての賛否は大きく分かれているところですが、民営化の意義や目的について十分説明されているかについては「十分ではない」が88%でありました。他の世論調査を見てもだいたい同じようなものであります。
 このような国民の間で十分どころか、議論がまともにされていない状況で、法案がもし国会で可決されるようなことになれば、民主主義の重大な危機であります。
 この際ですので、郵政三事業民営化の中身について、今後議論するために問題点をあげておきます。
 まず郵便事業についてですが、世論調査によりますと全国に約2万5千ある郵便局ネットワークについて「維持した方がよい」は75%で「減らした方がよい」の21%を大きく上回っており、維持派の理由は「郵便局が遠くなると不便」が45%と最も多く、削減派の理由は「コストを下げるためにはやむを得ない」が52%でありました。
 郵便事業はユニバーサルサービスであります。たとえ山間地や離島でも、日本国内なら同一の料金体系でサービスを提供しなければなりません。郵便法第一条は「なるべく安い料金で、あまねく公平に提供する」と明記されております。全国均一サービスは、不採算地域でも事業を行う必要があるため、民営化された会社が赤字分を負担するのは「競争条件が民間と比べ不公平」との声もあります。郵便は視覚障害者の方など社会的弱者を対象とするために赤字となっている部分がかなりあることにも留意する必要があります。
 この問題を解決するには、国の財政資金で赤字を補てんする、一定範囲で業務の独占部分を残し、赤字分に見合った利益保証をするなどが考えられますが、国の補助については、「民営化によって新たな国民負担が生じるのでは本末転倒」という感が拭えません。
 最近は切手の貼っていない郵便物、郵便物と呼んでいいのか分かりませんけれど、民間業者のサービスが増えております。サービスが多様化することは消費者にとって好ましいことですが、郵便法第1条の趣旨が確保されるのか、十分な議論が必要であります。
 1990年ドイツでは郵政が民営化されました。郵便局は3分の1に減りました。同時に導入した委託制度を含めても半分に減ってしまったのであります。これじゃまずいというので政府が歯止めをかけたわけですけれども、民間の競争原理に任せておくとこうなるという歴史的検証であったろうと思うのであります。
 先に申しました『年次改革要望書』には、電気通信 、情報技術(IT)、エネルギー 、医療機器・医薬品 、金融サービス 、競争政策 、透明性およびその他の政府慣行 、法務サービスおよび司法制度改革 、商法 、流通 と11項目があります。そのうちの「透明性およびその他の政府慣行」の中の5番目に郵便金融機関というのがあり、概略を申せば、郵政事業の民営化が透明な形で実施され、郵便金融機関の取扱商品の拡大を抑制し、民間の同業者に適用されているのと同一の規制基準が郵便金融機関にも適用されることを確保することと書かれております。
 郵便貯金と簡易保険とあわせると資金量は350兆円であります。世界中にこれだけの資金が集中している機関はないのでありまして、これが民営化されるとどうなるかというシミュレーションがまったくされていないのであります。
 外資の軍門に下ってゆくのは一般事業法人だけではありません。いわゆる『構造改革』の名の下に、通信、エネルギー、交通といった公益部門も民営化、株式会社化されることで外国資本の買収対象にさらされることになるのです。巨額の公的資金を投入したメガバンクが外資に二束三文で買収されたことを、みなさん十分ご承知のことと思います。小泉総理は、国民にとっていかなるメリットがあるのかわからない郵政三事業の民営化を、国民どころか与党にさえもきちんと説明しないまま押し進めようとしております。それは郵政民営化もまた、米国資本の圧力を背景とした『年次改革要望書』の対日要求事項のひとつであるからなのです。
 黒船でもって我が国の構造改革を推し進める手法は、後世に回復しがたい禍根を残すことになります。主権国家として、郵政民営化は自らの問題意識の中で議論を尽くされるべき性質の案件であるのであります。

 請願書の中で「議論が現時点では十分に尽くされているとは考えられません」と述べられているのは誠に妥当であります。道路公団民営化とは質を異にする郵政事業民営化について「十分な議論と慎重に進めることを要望して欲しい」とする請願について、亀岡市議会としてはきちんと対応すべき問題であろうと思います。
 以上をもちまして私の賛成討論とします。